日本財団 図書館


 

近年の重大事故は、平成5年、悪天候時に転覆により二人の行方不明、平成7年に火災事故により6人の行方不明者があった。その他、見張り不十分による衝突、乗り上げ事故、海中転落事故が発生している。概して、労働条件がきつく、沖合操業をしているときに発生しやすい。衝突、乗り上げ事故は、帰港中の自動操舵時に発生しやすく、寝不足運転は、交代要員の居ない等の、人手不足が大きな要因と考えられる。
海中転落事故は漁るう作業中、特にパラアンカ一を投げ込むときにこれと一緒に転落した事故が発生している。自動イカ釣り機が普及しているため、漁労中の海中転落事故は発生していない。いか釣り機に関する事故では、初期の頃はドラムに絡まってしまう等の事故が発生していたが、現在ではテグスに手をひっかける程度の軽災害である。
冬季に富山湾内でイカ釣り操業を行う際、従来は先を争って場所取りをしていたが、最近では各船で話し合い漁獲場所を予め区分けして毎日輪番で場所を変えて行くようにした。
小型船を含めて約100隻が船団に加わっており、良い場所も悪い場所も平等に機会を与えられたために、漁獲高に差が無くなってきた。また、夜間操業をする際は、大型船の集魚光灯で集めたイカを午前3時以降は小型船にも獲らせるようにした。また、台風等の荒天時は船団長を通して各船に操業を停止するように連絡している。これらの決めことによって場所取りをするために休息不十分のまま漁に出て居眠り事故を起こしたり、漁獲高を上げるために必死に動き回ることによる衝突事故等が半分以下に減った。また、荒天時に無理な操業をしたために発生する遭難もなくなった。
船団として年初頭に年間のスローガンを決め(「無理」、「むら」、「無駄」をなくす等)、業務の改善を図っていく。月に何度がは船団員の奥さん同伴で家に集まってもらい、会議プラス飲み会を行ってコミュニケーションを図っている。
漁具、船具、機械等を購入する際は、各メーカーを呼び船団として一括購入をしている。そのため各々が購入するよりも性能が良いものが安価に手にはいる。
災害防止活動で、安全対策、法律の改正等を漁船員に説明するとき、難解な文章で通達等が来るため、なかなか理解してくれない。自動車教習所のテキストのようにイラストや図入りで、平易な文章を使ったわかりやすい安全対策書を作成

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION